初めて僕は息をする

アイドル楽曲と私の記憶

 

私が田舎で過ごした透き通るような日々は、もう一年半以上前の話になってしまった。

 

田舎に転勤してください、と言われたときは頭の中が真っ白になった。嫌で嫌で嫌で仕方なかった。しかも、転勤なんてするわけないと思っていたから、想像もしていなかったことが起こった瞬間だった。あの瞬間の気持ちは、なんとも表現し難い、共有し難い、もう二度と経験できない気持ちな気がする。

 

しかし行ってみれば、高い建物のない世界は風がすごく澄んでるように感じて、季節が冬だったこともあり、なんだかとても不思議な感覚で、すごく感動した。凍えるくらいに寒くて冷たい空気が、不思議と嫌でなかった。

誰もいない夜道を、自転車で目を瞑りながら走った。そんなことをしても危なくない世界だった(しかし田んぼに落ちかけた)。地元に帰ってきたとき、高い建物ばかりに囲まれて、とても窮屈に感じたくらい。

 

私はあっという間に職場のことも、職場の人たちのことも、すごく大好きになった。気取らずにかっこつけずに一緒にお仕事ができる、本当に恵まれた環境だった。今でも大好きな方々だ。

そんな楽しい日々はあっという間に過ぎて、私は予想外に、でも私の望んでいた通りに、すぐに転勤から戻された。

 

あんまりすぐだったから、周りから見たら、「たった数ヶ月の思い出」になってしまった。「すぐだったよね」なんて言われたりする。けれど私にとっては、転勤をする、と決意した瞬間も含めて、二度と経験できないような経験をたくさんした、あまりに濃い数ヶ月だった。濃すぎて眩しいくらいに(だからこそ、私の中で美化されているのも仕方ない!)。

 

二度と戻れないことを分かっているからなのか、今でも頭の中でキラキラしすぎている思い出たちをふと思い出したりする。朝会社に向かいながら、帰りの夜道で、会社の借りたマンスリーマンションで。よく聞いていた楽曲は、あっという間に楽しい日々を思い出させてくれる。

 

忘れないうちに、その記憶を残しておきたい。

 

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乃木坂46「逃げ水」

 

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乃木坂46君の名は希望

 

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乃木坂46今、話したい誰かがいる

 

ピアノの美しい伴奏が、透き通るような冬の夜空にぴったりだった。だから、夜に聞くことが多かった気がする。夜道で聞いても、朝に聞いても、なぜかセンチメンタルな気持ちになってしまう。

 

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ジャニーズWEST「覚悟しろよSummer」

 

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ジャニーズWEST「unlimited」

 

「unlimited」のサビの伴奏、ボーンという音が本当に本当に、淋しいほどに何もない景色にぴったりだった。だから、その景色と一緒に聞きたくて、よく朝に聞いていた。職場に入るギリギリまで聞いていたから、職場の入り口まで思い出せる。やっぱりジャニーズWESTの曲は、聞くだけで元気をくれる気がする。